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実家を相続したけれど、住む予定はなく、遠くてなかなか見に行けない。そんな空き家を持つ方にとって気になるのが、市区町村から「管理が不十分」と指摘されることです。空家法の改正で、倒壊のおそれがあるような空き家だけでなく、その一歩手前の空き家にも、市区町村が指導や勧告をできるようになりました。勧告を受けると、固定資産税の軽減が受けられなくなります。
この記事では、国土交通省・国税庁・法務省の公式情報をもとに、空き家の所有者が指摘を受ける前に確かめておきたいことと、売る・活用する・手放すといった選択肢を整理しました。
この記事でわかること
- 「管理不全空家」と「特定空家」の違いと、指導・勧告・命令の流れ
- 勧告を受けると、固定資産税の住宅用地の特例が外れること
- 2026年(令和8年)の空家法の改正と、ガイドラインの改正
- 相続した空き家を売るときの3,000万円特別控除と、相続登記の義務化
- 相続土地国庫帰属制度と、空き家の相談窓口
空家法の改正で、「管理不全空家」にも指導・勧告ができるようになった
「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家法)は、令和5年12月13日に改正法が施行されました。国土交通省によると、使われる予定のない空き家は1998年の182万戸から2018年には349万戸に増え、2030年には470万戸になる見込みです。改正では、所有者に、空き家を適切に管理する努力義務に加えて、国や自治体の施策に協力する努力義務も課されました(国土交通省「空家法改正の概要」)。
管理不全空家とは
このまま放っておくと、後で説明する「特定空家」になるおそれのある空き家を「管理不全空家等」といいます(法第13条)。市区町村長は、所有者に、国の管理の指針に沿って管理するよう指導できます。指導しても改善されず、特定空家になるおそれが大きいときは、勧告できます。指導をしないまま勧告することはできません。また、管理不全空家には、命令や行政代執行の定めはありません(国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針」)。
特定空家とは
倒壊などで保安上危険になるおそれがある、衛生上有害になるおそれがある、景観を大きく損なっている、周辺の生活環境のために放っておけない、といった状態の空き家が「特定空家等」です。特定空家には、助言・指導、勧告、命令の順に措置がとられます(法第22条)。管理不全空家として指導や勧告を受けていなくても、特定空家として直接指導を受けることもあります。
改正では、緊急のときに事前の手続きを経ずに行政が代わって除却などを行える「緊急代執行」の制度もできました(国土交通省)。
勧告を受けると、固定資産税の住宅用地の特例が外れる
住宅が建っている土地には、固定資産税・都市計画税を軽くする「住宅用地の特例」があり、国土交通省は「1/6等に減額」と説明しています。管理不全空家として勧告を受けると、その敷地はこの特例の対象から外れます。特定空家として勧告を受けた場合も同じです。管理不全空家として勧告を受けた後に特定空家になったときは、勧告が撤回されないかぎり、特例は外れたままです(国土交通省のガイドライン)。
「空き家でも、建物が建っていれば土地の税金は安いまま」とは、もう言い切れません。指導を受けた段階で、どう対応するかを決めることが大切です。
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どんな状態だと指摘されやすいのか
国土交通省のガイドラインは、「保安上の危険」「衛生上の有害」「景観の悪化」「周辺の生活環境への影響」の4つの観点ごとに、特定空家の状態と管理不全空家の状態の例を示しています。あわせて、そうならないための管理の例も「管理指針」として示しています。たとえば、屋根材を一定の頻度で点検して補修する、立ち木を点検して伐採する、排水設備を点検して補修する、といったことです(国土交通省「ガイドラインの概要」)。
遠くに住んでいて見に行けない場合は、定期的に見回りを頼める人や事業者を決めておくと安心です。近所の方から市区町村に相談が入って、はじめて状態に気づくこともあります。
2026年(令和8年)の改正で変わったこと
第16次地方分権一括法(令和8年6月3日公布)により空家法が改正され、令和8年9月3日に施行されました。市区町村が指定する「空家等管理活用支援法人」に、商工会議所や商工会などの営利を目的としない法人も加えられるようになりました(内閣府「第16次地方分権一括法の概要」)。支援法人は、所有者への情報提供や相談対応などを行う法人です。
国土交通省の空き家対策のページでは、管理不全空家・特定空家のガイドラインをはじめとする関係の指針が、令和8年9月3日付けで改正されています(国土交通省「空き家対策」)。ガイドラインの改正点の細かな対照は公表資料で確認できなかったため、この記事では、改正後のガイドラインに書かれている内容をもとに説明しています。
売る・活用する・手放す、それぞれの選択肢
売る:相続した空き家の3,000万円特別控除
相続で取得した、亡くなった方が住んでいた家や敷地を令和9年12月31日までに売ると、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。家を相続した人が3人以上の場合は、令和6年1月1日以後の売却から2,000万円までです。家は昭和56年5月31日以前に建てられたもので、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、売却代金が1億円以下であることなどが要件です(国税庁 No.3306)。
売るときに耐震基準を満たしているか、家を取り壊してから土地を売る必要があります。令和6年1月1日以後の売却では、売った時から翌年2月15日までの間に、耐震基準を満たすようになった場合や、家を取り壊した場合も対象になりました。くわしい条件は相続した空き家を売る前に確認したい3,000万円特別控除の期限・耐震・解体要件で整理しています。税金の扱いは個別の事情で変わるので、適用できるかどうかは税務署や税理士に確かめてください。
活用する:空家等活用促進区域
改正で、市区町村は「空家等活用促進区域」を定めて、道路の幅や建物の用途の決まりを合理化し、空き家の活用を進められるようになりました。国土交通省は、第一種低層住居専用地域で空き家をカフェとして使いやすくなる例を挙げています(国土交通省)。区域があるかどうかは、市区町村によって違います。
手放す:相続土地国庫帰属制度
相続した土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」が、令和5年4月27日に始まりました。ただし、建物がある土地は申請できません。空き家が建ったままでは使えず、解体してからの申請になります。崖があるなど管理に手間や費用がかかりすぎる土地も承認されません(法務省)。審査手数料は一筆14,000円で、承認されると10年分の管理費に相当する負担金(原則20万円。市街地の宅地などは面積に応じて計算し、100㎡で約55万円)を納めます(法務省の資料)。
相続登記は、3年以内が義務になっている
令和6年4月1日から、相続登記が義務になりました。不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記する必要があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になることがあります。令和6年4月1日より前に相続した不動産も対象で、その場合は令和9年3月31日までに登記が必要です(法務省)。売るときも名義が整っていることが前提になるので、早めに確かめておきましょう。
空き家の相談窓口
- 神奈川県:空き家総合相談窓口(かながわ住まいまちづくり協会、045-664-6901)。県内の市町村でも相談を受け付けています(神奈川県)。
- 東京都:東京都空き家ワンストップ相談窓口(無料、0120-776-735、平日9時〜18時)。相続・売却・賃貸・管理などの相談に応じています(東京都)。
- 横浜市:令和8年3月に開設された「横浜市空家のこれから相談窓口」(0120-830-458)では、活用や処分の提案から業者の紹介まで、続けて支えてもらえます。令和元年からの「空家の総合案内窓口」もあります(横浜市)。
- 川崎市:すまいの相談窓口(川崎市住宅供給公社、044-244-7590、平日)(川崎市)。
まとめ
空家法の改正で、倒壊のおそれがあるような空き家だけでなく、その手前の「管理不全空家」にも指導や勧告ができるようになり、勧告を受けると固定資産税の住宅用地の特例が外れます。住む予定のない空き家は、指摘を受ける前に、管理を続けるのか、売るのか、活用するのか、手放すのかを決めておくことが大切です。相続した空き家を売るなら、3,000万円特別控除の期限(令和9年12月31日)や、相続登記の期限も確かめておきましょう。
HALENAMIでは、東京・神奈川を中心に一都三県で、相続した空き家を含む住まいの売却相談を無料で承っています。「売るか決めていない」段階から、売り方や時期の考え方を一緒に整理します。
公式情報
- 国土交通省「空き家対策」
- 国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針」
- 内閣府「第16次地方分権一括法」
- 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
- 法務省「相続土地国庫帰属制度」
- 法務省「相続登記の申請義務化」
HALENAMIでは、東京・神奈川を中心に一都三県の住まいの売却相談を無料で承っています。査定の前に、売り方や時期の考え方から一緒に整理します。